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☆彡 子どもの幸せ・絵本・社会 (32)         

更新日:1月3日

        2023年 12月

  『世界は気になることばかり』


                    五味太郎  偕成社

    

今年も終わろうとしています。色々な面でこの本の題名のとおりの一年でした。

多作で知られる五味太郎さん。テレビ番組では「絵本は娯楽」、そして子どもがしていることは「よく見ること」とおっしゃっていました。そのとおり、子どもたちは五味さんの作品とそのようにつきあっています。

12月の小学校のブッククラブでは、子どもたちとこの本を楽しみました。いつもはパイプ椅子に座ってもらうのですが、今回は低い机の周りの床に座ってもらってスタート。何しろ近くで絵をよく見なければ進みませんから。

見開き1ページの絵のうち、下1.5cm幅のスペースに主人公の男の子の言葉が一行。

「どうやら みんなはあまり気にしていないみたいだけれど、ビルディングで展覧会をやっているの、ぼく気づいた。あれ、たぶん展覧会だよ。もっと近づいて見られればいいのに、、、」

 この言葉を手ががりに絵を見ていきます。あちらこちら見たり、目ざとい子が早々と答えらしきことを喋ったりするのを聞きながら、自分が気になる事についても喋ったりと賑やかです。合間には私も子どもたちの喋ったことに質問したりもしますので、とにかく喋ること喋ること。話すのが苦手そうな子も笑顔で聞いています。

そうしているうちに子どもたちの姿勢は前のめりになり隣の子とくっつき、、、。どんなにこの本が子どもをひきつけているのかがわかります。

主人公の男の子が言っていること以外にも、描き込まれた全てが色々なことを考えさせてくれます。この人はどんな人なのか、どこへ行こうとしているのか、何考えてる?、、、何の建物?と際限なく、この後の展開はどうなる?などと想像したり、、、。男の子の言葉は入口にすぎません。

五味さんは「いろんな方向から考える」ということを常日頃から考えておられるとか。それがこうした絵本のスタイルになるのだと感じます。五味さんの絵本は絵がとてもおしゃべりな感じがします。

絵本はコミュニケーションのツールとして捉えられてきていますが、五味さんの作品は

正しくそうなのでしょう。「読み聞かせる」作品というより、がやがや喋りながら読むという感じでしょうか?

 どんどん先に読み進むより、頭にのぼってくる「気になること」に付き合うとそこにたくさんのお話が生まれるといったことが起こりそうです。私は五味さんの本で「頭が耕される」感覚がありますが、きっとこれは生きていく力を作り出しているということだと思います。

スマホやゲームの影響か、子どもたちの絵本を見る速さもスピードアップしているようですが、じっくり見て考える体験もなかなか面白いよと誘ってくれるのが五味さんの作品

だと思います。

五味太郎さんの本は、見ているだけで面白いですね。

 なぜ、なんだろう?

 その主な理由は、私たちの内に秘めている「創造的思考」を刺激し続けるからだと思います。五味さんの絵は、見ているだけで私たちの「眼球」を活性化させます。絵に添えられた一文を読んで、さらに活性化、細かい部分に焦点を合わせて物事を捉えようと「眼球」が一点に集中。そして再び周辺の事象へと目が移り、比較しながら、批判的に思考する。そんな脳の動きを自分の中に感じます。なんだか、脳が「ワクワク」しているようです。

 一人で読んでもそうなのですから、ブッククラブのように数人が集まって、わいわいがやがや言いながら一冊の絵本を読み合う時間を共有できる一時は、素敵な時間ですね。

 そんな素敵な時間が、パレスチナ、イスラエル、ウクライナ、ロシア、そして世界中のすべての子どもたちに一日も早く訪れますように!

世界各地で多発する大量殺人行為にオロオロしている自分に、「それでも、この世界はワクワクに満ちている。」と言い聞かせています。


*ライフスキル:自己認識、共感性、効果的コミュニケーションスキル、対人関係スキル、

意志決定スキル、問題解決スキル、創造的思考、批判的思考、感情対処スキル、ストレス

対処スキル 以上10の技術のことです。WHOが1993年に「おとなになるまでに、身に着けてほしいスキル」として提唱しました。

              廣岡綾子・逸樹  


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